山の神、おかみさん

2024/03/01

社寺には「奥之院」というものが存在しますね。これにならってか、江戸時代、身分の高い武士の屋敷では、主人以外の男性が入ることのできない奥まった建物を作り、ここに夫人を住まわせました。
このことから、奥に住む夫人を「奥方様」、「奥様」と呼ぶようになり、その呼私が一般に広がり他人の夫人を敬って「奥様」と言う習慣が生まれたようです。現代の奥様方は、奥になど納まっていないで表に姿を現すばかりか、積極的に外に出る方が多くなりました。中には外にばかり出ていて、奥様の呼称より「そとさま」の方がピッタリと思われる夫人もいらっしやいます。では、奥様のことを「山の神」とも言うのはどうしてでしょうか。いろは歌を思い出してください。「ういのおくやまけふこえて」。そうです。やまの上(うえ・かみ)にはおくがあります。そこで、上と神をひっかけて「山の神」となる言葉遊びですが、おもしろいと思いませんか。もちろ、本物の山の神は山を支配する神様で、山の動植物にその影響を与えるとされました。昔、農家では、この神様が春になると山を降りて田に宿り秋にはまた山へお帰りになると考えました。今でも田のことをヤマと言ったり田の神様を山の神様と言ったりすることから、田の神と山の神が同一神であることは容易に想象できましょう。
春と秋に、おはぎや餅を悠えてこの神様を送迎する民間信仰も、今に伝えられてハます。この神様に豊受大神とか大山祗神という具体敵なお名前をつてお祀りする神社もありますが、一般的には社を作らず単に田の神、山の神として敬っていたようですね。
いずれにしても山の神は動植物を育む有り難い神様です。我が家のおかみさん=山の神=奥様も、子宝を育み、家族に食事を与える有り難い存在です。山の神の御託宣(奥さんの口やかましい小言や意見)をよく聞いて、豊かな家庭をエンジョイすることにいたしましょうか。

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