絶対・対応

2025/09/12


◆ 「絶対評価」と仏教思想──比較を超えた幸せのかたち
 学校教育の現場で使われる「絶対評価」という言葉をご存知でしょうか。小学生や中学生のお子さんを持つ方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。
これは、他の子どもとの比較ではなく、その子自身の成績や成長を評価する方法です。たとえば、相対評価では、成績が良くても周囲にもっと優秀な子がいれば、最高評価を得られないことがあります。しかし絶対評価では、人数に関係なく、その子の努力や成果がそのまま評価されるのです。
この「絶対」と「相対」という言葉、実は仏教の深い思索から生まれたものでもあります。

◆仏教における「絶対」と「相対」
 もともと仏教では、「絶待」「相待」と書かれていましたが、時代とともに「絶対」「相対」という表記に変わりました。意味は変わらず、以下のように捉えられます。
絶対:他との比較や対立を超えた、唯一無二の真理の世界。心を静めて本源の真理に住まい、智慧を起こして物事を正していく境地です。そこには「二」も「三」もなく、すべてが一体となって我多彼此しない世界が広がっています。
 相対:差別や対立が存在する現象世界。人は互いに比較し、優劣や善悪、美醜などを喧しく言い立て、そこから嫉妬やいじめ、争いが生まれます。自分を他と比べることばかりにとらわれていては、本当の幸せには近づけません。

◆比較を超えて生きるということ
 「絶対の世界」には、優劣も善悪もありません。あるのは、それぞれが活き活きと生きている、かけがえのない命の営みだけです。
教育の場でも、人生のあらゆる場面でも、私たちはつい「相対」の世界にとらわれがちです。でも、仏教の教えにある「絶対」の視点を持つことで、他人と比べることなく、自分自身の価値を見つめ直すことができるのではないでしょうか。
お覚りの世界たる「絶対の世界」について、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。そうすれば、誰もが「絶対に」幸せになれるはずです。

 

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