使い分け

2026/03/13

先日、大工さんの仕事をよく見ていると、いろんな道具を使い分けて仕事を進めている姿を目の当りにすることができました。カンナ一つにしても荒削りから仕上げ飽まで、ずいぶんと種類があるんですね。また最近、焼物や革細工をする方々が使う特殊な道具を知る機会も得ました。人間が他の動物と違う点の一つに、道具を使うということが挙げられますが、本当に道具とは有難いものですね。
 ところで、「道具」という語は元々、〈仏道を修行するときに具(そな)えて資助(たすけ)とすべき器物〉を指すことばであり、この語を用いるのは僧家に限られておりましたが、それが転じて、世間の一切の器物を指す語として用いられるようになったものです。そういう本来の意味での「道具」と呼ばれた物では、三種の衣類・食事や托鉢用の鉢・坐る時に用いる坐具・水をためて漉す漉水囊の六物がよく知られております。これらの道具は文字通り、僧の修行の資助となる大切で実用的なものだということがおわかりでしょう。 その後、暑い地方であるインドから仏教が北伝するにつれて、寒い土地柄に応じて修行に必要な道具の数も徐々に増えていきました。このように、お坊さんが道具を用いて修行をしているように、一般の人々もまた道具を用いてそれぞれの道に精出しているわけですが、およそ自分の生業の道具として器物を使う人は、本来の道具のあり方を念頭におき、これを丁寧に扱うとともに、心の修行も忘れないでいてほしいものです。また「具足」とは、道具が満足に揃うことで、併せて精神的な力が具わることも意味します。観音さまは神通力を具足し、これを用いて十方にあらわれては私たちを救ってくださいます。戦国時代には、甲冑一式を具足と称しましたが、いま私たちに必要な具足は心に具えるべきものです。人間の心に具えるべき戒律を「具足戒」と言います。仏の戒めをよく守り、無量の功徳を身に具え、自利利他の法がすべて具足することを期したいものです。

 

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