2026/04/10

先のことまで考えて、余計な心配をすることを「取越苦労」といいますね。その時が来れば何とかなるものを、予めクヨクヨ考えて苦労の先取りをすることもないでしょうに・・・
ところでこの「取越」は、浄土真宗で使われたことが元となって一般化された語です。真宗の開祖であられる親鸞聖人の御命日は陰暦十一月二十八日ですが、門徒のあいだでは毎年、その入寂の日が成満の日となるように一週間の間、報恩のための法会報恩講を行なってまいりました。明治以降、陽暦を用いるようになってからは、御命日の計算方法が東本願寺と西本願寺で多少違ってしまいましたが、それにしても、全国の門徒が本山に集まり、それぞれが一宗あげての盛大な報恩講を行なっていることに変わりありません。
ところが当然のこととして、本山だけでなく地方寺院でもこの報恩講を行ないたいという願いがあるわけです。そのため地方寺院においては、この法会を繰り上げて早目に済ませてしまってから、本山の報恩講にも出かけるということになつたのです。そこで元々、〈一定の期日よりも早目に行なうこと〉を意味する仏教語であった「取越」を用いて、真宗では地方寺院で早目に行う報恩講の法会を「御取越」と呼びました。それが一般にも普及して、「取越苦労」などの用法となったというわけです。日程が重ならないようにやりくり調整して、大切な法会を何度も行なえるのは有難いことですね。
私たちの生活の中には、何度も出会った方が良いものと、一回でもうたくさんというものが混在していますね。取越苦労は少しいただけません。取越するものを見定めて、良い因縁を一つでも多くこちらに引き寄せるとともに、悪い因縁はできるだけ遠ざけ、自分をいたずらにいじめることのない暮しをしたいものです。皆さまにはどうか、仏法に遭う因縁の取越をしていただきますよう、念じてやみません。

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