2026/05/01

過日ある席で、「仏教では南が無いと言っていますが、どうして南が無いんですか」と質問されて、私は「うむ・・・」としばらく言葉が出てきませんでした。また他にも「南無って何ですか」と尋ねられたこともあり、これにも「え・・・」と驚くばかりでした。
しかし考えてみれば、驚く方が認識不足だったんですね。右の質問者は、それぞれ真面目な、しかも地位のある方たちでしたので、私をからかっていたわけでないことは明らかです。私は坊さんとして反省すると同時に、自分自身にこれらの質問をしてみました。そこで、辞書を引きながら次のような答えを探し出しましたので、お伝えしておこうと思います。
「南無」は梵語のナマスの音写語で、元々は屈するという意味です。音写語ですから字自体に意味はなく、南无、那謨、曩謨、納莫(いずれもナムと発音)等、さまざまな字で音写されてきました。経典中に頻出するこの語を訳せば帰命とか敬礼、あるいは信従等となりましょうか。仏・法・僧の三宝や神様などに自分の身命をあずけ、それらを敬い、心より礼拝する時にお唱えする言葉です。
私は冒頭に触れた質問者には、「南無というのは『おまかせしますのでよろしく』という意味ですよ」とお答えしたのでしたが、この答えはどうだったでしょうか。また「一心一同にたのみたてまつり、後生たすけたまえとふたごころなく信じまいらするなり」ともいい、あるいは「天地一杯の生命が生命の実物であり、そこに帰るのを帰命といい、南無という」と説明もあります。
天地一杯の生命、それを仏と名づけ、その仏に自分をあずけておまかせする。そうすれば諸行無常が分かり、諸法無我が悟られ、苦が消え去って静かな心が得られるということでしょうか。妙法蓮華経に南無をつけ、あるいは観世音菩薩に南無をつけて帰命頂礼すれば、必ずや悩みが消えて救いがあるものです。ありがたいじゃありませんか。

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